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環境認証

CASBEE-ウェルネスオフィス(WO)認証開始

2019-04-10

背景

不動産市場においてESG投資が広く普及してきました。ESG投資の取り組みとしてこれまで建築環境認証が代表的なベンチマークの一つとして挙げられますが、評価の高さに反して、建物の利用者はその恩恵をあまり感じていない現状がありました。
また「働き方改革」の推進が進められている昨今、企業などの取り組みとして特に重要なテーマが「知的労働生産性の向上」です。オフィスビルで働く人々が働きやすく健康で快適に過ごせる環境づくりに関心が高まっており、「健康経営」という言葉も生まれました。
ESG投資だけでなく働き方改革の観点からも、健康で快適なビルへの投資拡大が見込まれています。
2014年に、アメリカ合衆国で健康で快適なビルに対する認証制度「WELL Building Standard(WELL認証)」が開発され、アメリカ合衆国・中国をはじめ、世界各国でこの認証制度が急速に広まってきています。日本でも、快適なビルに対する制度が求められ、2019年春、IBECによる「CASBEE-ウェルネスオフィス認証」の先行認証がスタートします。

CASBEE-WOとは

CASBEE-WOは、執務者・利用者が、健康で知的生産性向上を目指せるオフィスビルを評価するツールです。執務者の健康性・知的生産性を直接に評価するのではなく、あくまでそれを目指したハード・ソフト面での取り組み内容を評価します。

CASBEE-WOの評価基準・内容

CASBEE-新築と同様に、全ての評価項目を5段階(レベル1~レベル5)で採点します。 例えば、建築基準法など、最低限の必須要件を満たしている場合はレベル1、評価時点の一般的な技術・社会水準に相当すると判断される場合はレベル3と評価できるような採点基準となっています。 取り組み内容は大項目『基本性能』・『運用管理』・『プログラム』の3項目に分類され、表1に記載の評価項目がその具体的な取り組みとなります。

 CASBEE-WOの評価基準・内容
 

CASBEE-WOの認証タイプ

認証には、CASBEE-WO認証のみの「ウエルネスオフィス認証」と総合環境性能評価を加えた「スマートウエルネスオフィス認証」があります。総合環境性能評価の条件として、新築はCASBEE建築(新築)、既存はCASBEE不動産またはCASBEE建築(既存)の第三者認証、もしくは自主評価でB+以上を取得する必要があります。

自主評価とは

CASBEE評価員が、自主評価を行った結果をIBECに登録し、その情報をウェブページ上で公開できる制度が新しく加わりました。これは、各企業で行われ公表されていなかった自主評価結果を公開することで、CASBEEのさらなる普及を促進する狙いがあります。

認証スケジュール

2019年4月から5月にかけて、IBECによる試験的な先行認証が始まる予定です。2019年度後半からWO評価員講習・試験の開始が見込まれており、認証機関による認証業務は2020年度より、準備でき次第業務開始となっています。

おわりに

2019年3月19日に東京・神田にて「“環境認証の動向がわかる”『CASBEEウェルネスオフィス』の解説と環境認証の動向」というテーマでビューローベリタス主催セミナーを行いました。予約受付開始後すぐに予想以上のお申し込みをいただき、急遽大きい会場へ変更するなど、このCASBEEウェルネスオフィス認証に対する市場の関心の高さに大変驚きました。この勢いが制度開始後も続き、オフィス従事者の満足度を上げ、日本の労働生産性を高めるきっかけとなれば、認証機関としてこの上ない喜びとなるでしょう。

イノベーション/インサービス検査事業本部 技術監査部  玉川 冬紀

 


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