コラム - 事例で見るガイドライン調査

ビューローベリタスに寄せられる「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン(以下、「ガイドライン」という)」に関するお問い合わせや見積依頼の中で、工場についてのご質問をいただくことがあります。

今回は、一敷地に複数の建物が存在する工場の新築、増築改築工事を行なう場合、どのような躯体調査や図書が必要になるのか解説します。

1.ガイドライン調査の概要

これまで、検査済証のない建築物は違反建築物なのか既存不適格建築物なのかの判断が難しいことから、増改築や用途変更等を行う場合の確認申請手続きが大変困難な状況でした。
しかし、2014年7月2日に国土交通省より「ガイドライン」が公表され、調査方法等についての方針が示されました。調査者として国土交通省へ届出を行った指定確認検査機関等(以下、「ガイドライン調査機関」という)が法適合状況調査を行う方法について内容を示したものです。
ガイドライン調査の結果、対象建築物が既存不適格建築物であって違反建築物ではないことが確認できれば、増改築や用途変更等を円滑に進めることができるようになりました。

※ガイドライン調査
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2.一敷地に複数の建物が存在する工場におけるガイドライン調査の取り扱いについて

一敷地に複数の建物が存在する工場において、いくつかのケースをもとに、
・ガイドライン調査が必要となるのか
・必要となる躯体調査及び図書はどのようなものか
を説明します。

検査済証のない建物についての取り扱いは特定行政庁によって異なりますので、実際には特定行政庁に内容を確認し作業を進める必要があります。

ケーススタディ
ケース1:工場Aを解体した後、跡地に新築を計画する場合
ケース2:工場Aに増築を計画する場合(1)~確認申請副本あり
ケース3:工場Aに増築を計画する場合(2)~確認申請副本なし

前提条件
   1.敷地内には工場A・B・Cの3棟が存在する
   2.工場A・B・Cの竣工年度は以下の通り
      工場A:1995年竣工
      工場B:2005年竣工
      工場C:2010年竣工
   3.工場Cは建設時に確認申請済証及び検査済証の交付を受けている

ケーススタディ1:工場Aを解体した後に新築を計画する場合

工場Aは解体され、その跡地に、新築が計画されているケースです。
跡地に建設予定の新築の建物については、確認申請手続きが必要となり、ガイドライン調査の対象とはなりません。
工場Bについては、検査済証が取得されていませんが、工場Cの建設時に検査済証の交付を受けており 、その後の増改築が行なわれていないことから、工場Bに対するガイドライン調査は必要とはなりません。
工場Cについては検査済証が取得され、竣工後、増改築も行なわれていないことから、ガイドライン調査は必要とはなりません。

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ケーススタディ2:工場Aに増築を計画する場合(1)~確認申請副本あり

工場Aに増築が計画されているケースです。
工場Aについては検査済証のない既存建物への増築となり、ガイドライン調査が必要となります。
また、ガイドライン調査後、確認申請手続きが必要となります。
工場Bについては、検査済証が取得されていませんが、工場Cの建設時に検査済証の交付を受けており、その後の増改築が行なわれていないことから、工場Bに対するガイドライン調査は必要とはなりません。
工場Cについては検査済証が取得され、竣工後増改築も行なわれていないことから、ガイドライン調査は必要とはなりません。

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ケーススタディ3:工場Aに増築を計画する場合(2)~確認申請副本なし

工場Aについては検査済証のない既存建物への増築となり、ガイドライン調査が必要となります。
ガイドライン調査を依頼する際、工場Aの確認申請図書がないことから、確認申請同等の内容を記載した図書を作成し提出する必要があります。
また、ガイドライン調査後、確認申請手続きが必要となります。
工場Bについては、検査済証が取得されていませんが、工場Cの建設時に検査済証の交付を受けており、その後の増改築が行なわれていないことから、工場Bに対するガイドライン調査は必要とはなりません。
工場Cについては検査済証が取得され、竣工後増改築も行なわれていないことから、ガイドライン調査は必要とはなりません。

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ケース2およびケース3において工場Aに対し躯体調査を実施するにあたり、あらかじめ特定行政庁に確認を行い、サンプリング率、調査部位や調査方法について決定することが重要です。

3.ガイドライン調査結果の活用術

ガイドライン調査は既存建築物を有効に活用する手段として注目されています。具体的には、増改築や用途変更等の確認申請を行う際の既存不適格調書の資料としての活用や、法第12条第5項の規定に基づく報告等の基礎資料として活用することができます。調査の結果、対象建築物が既存不適格建築物であり、違反建築物でないことが確認できれば、増改築等の確認申請手続きが行えることになります。

ビューローベリタスはお客様と特定行政庁が協議するにあたり、躯体調査について役立つ情報の提供などお客様のお困りの点についてサポートいたします。

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