ビューローベリタスジャパン株式会社では既存建築物について遵法性調査を行なっております。遵法性調査は確認申請図書と現地との整合を確認し、不整合箇所について調査報告書にまとめ、依頼者に報告する業務です。
調査対象が工場の場合、中2階の取り扱いが議論の対象となります。本コラムでは中2階の床面積の算入について説明します。
工場における中2階の床面積算入
工場建物内に設置する生産施設にはメンテナンス用のスペースが設けられることがあります。この場合、メンテナンス用スペースは原則として床面積に算入されます。
特に、メンテナンス目的のみならず、生産設備についての稼働状況や検査結果などの記録をとるために机を設置し、事務作業を伴うスペースとして利用する場合は床面積に算入されることとなります。
ただし、キャットウォークなどメンテナンス目的だけのために設置されたスペースで、保守点検等一時的な使用を目的としている場合には、床面積に算入しないという扱いができることがあります。
これは、「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版」(JCBA編集)を判断基準としています。
「保守点検等一時的な使用」を巡っての解釈が争点になると言えるでしょう。
なお、消防署は建築基準法の判断によるほか、消防署ごとに独自に床面積の算入を判断していることがあります。
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図1 消防用設備等の設置にあたっての床面積の算定
(出典:「さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016」)
- ①倉庫内に設けられた積荷用の作業床は床面積に算入される。
- ②棚と見なされる構造の場合は床面積に算入されない(積荷をおこなう者が棚状部分の外部において直接積荷できるもの、またはフォークリフト・クレーン等の機械だけの使用により積荷できるもの)。
建築物のそれぞれのケースに応じて特定行政庁に問い合わせて、当該施設の床面積の算入の要否を確認することが重要になります。
■ 参考資料
- 「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版」(JCBA編集)