有効に外気に開放された屋外階段の条件とは

遵法性調査の結果、屋外階段の開放条件を満たしていない状況を確認することがあります。

確認検査からの変更点

屋外階段をパネルで囲っている

階段の外側にパネルを設置したため、外気に有効に開放される条件が満たされず、床面積に算入されます。その結果、延べ面積が許容容積率を超えるケースが発生することがあります。

屋外階段をパネルで囲っている

屋外階段を床面積に不算入として扱うにはどのような条件を満たせばよいのか確認してみましょう。

外気に有効に開放されている屋外階段の床面積不算入

外気に有効に開放されている屋外階段を面積不算入として扱うために「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例2022年度版」日本行政会議発行において、下記の条件が記載されています。

以下の a)および b)に該当する外気に有効に開放されている屋外階段については、床面積に算入しない

  • 外気に有効に開放されている部分の長さが、当該階段の周長の1/2≧であること
  • 外気に有効に開放されている部分の高さが1.1m以上、かつ、当該階段の天井の高さの1/2以上であること
  • 参考図

    外気に有効に開放されている部分の長さ≧1/2 { 2 ( a + b ) } で、 h1 ≧ 1.1m かつ h1 ≧ h2/2

    h1:当該階段の外気に有効に開放されている部分の高さ
    h2:当該階段の天井の高さ

    その他の条件

    その他の条件として、特定行政庁が定める基準に適合させる必要があります。
    ここでは、神奈川県建築基準法取扱基準を参考事例として紹介します。

    外気に有効に開放されている部分と判断するためには、屋外階段に対面する隣地境界線又は建物の部分までの距離について所定の数値を確保する必要があります。

    図-1:対面する隣地境界線または建築物の部分までの距離については、階段の周のうち、所要の数値を確保できる周部分の長さの合計が当該屋外階段の1/2以上である場合には、屋外階段は床面面積に算入しないものとする。

    図-1

    a + b + d ≧ 1/2 { a + 2 ( b + c ) + d }

    図-2:La < 2m、Lb ≧ 2m、Lc ≧ 50cmの場合、b、cの部分が外気に有効に開放されている部分と判断され、
    b+c≧ 1/2 ( a+b+c+d ) であるので、当該屋外階段は、床面積に算入されない。
    また、La < 2m、Lb < 2m、Lc ≧ 50cmの場合、cの部分のみが外気に有効に開放されている部分と判断され、
    c < 1/2 ( a+b+c+d ) であるので、当該屋外階段は、床面積に算入される。

    図-2

    屋外避難階段として取り扱うためには、下記条件もあわせて満たす必要があります。

  • イ 建築基準法施行令第123条第2項の規定を満たす
  • ロ 外気に開放された階段の部分が、その面する隣地境界線(公園、水面等に面するものを除く。)から50㎝以上、かつ、同一敷地内の他の建築物又は当該建築物の部分(ドライエリアの擁壁を含む。)から1m以上の距離を確保する必要がある。
  • 第123条

    2 屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。

    一 階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九条のニロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられものを除く。)から二メートル以上の距離に設けること。

    二 屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。

    三 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。

    昭和61年4月30日付建設省住指発115号通達

    (1)隣地境界からの距離が1m(商業地域及び近隣商業地域にあっては0.5m)以上であること。ただし、隣地の公園、水面等で将来とも空地として担保される場合は隣地境界線からの距離は問わない。

    (2)当該部分の同一敷地内にある他の建築物又は当該建築物の部分から距離が2m(商業地域及び近隣商業地域にあっては1m)以上であること。

    → 遵法性調査

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