CASBEE-不動産 2024年度版より大幅変更
CASBEE-不動産2024年版より、CASBEEファミリー、特にCASBEE-建築(新築)とCASBEE-不動産は省エネ基準義務化に伴ってエネルギー関係の評価項目の内容が大幅に刷新されています。
CASBEE-不動産は、オフィス・店舗・物流施設・共同住宅の4用途に加え『ホテル』用途の評価が追加されるという、大きな変更点となりました。
これまで日本国内においてホテル用途で環境認証を取得しようとすると、適用可能な認証制度はCASBEE-建築(新築)・CASBEE-建築(既存)、LEED等に限られていましたが、この改訂により、ホテルの環境認証取得が容易になりました。
ホテルの環境認証取得
今まではホテル用途でCASBEE-建築(既存)で申請をしようとすると、Q1(室内環境)など『共用部分』と『宿泊部分』両方の評価をしないといけない項目が複数あるため、結果的に計104項目の評価と根拠資料が必要になります。
一方でCASBEE-不動産は、CASBEE-建築をベースとしていますが、不動産評価に特に重要な要素が厳選されて項目が構成されています。このため必要となるのは計21項目の評価と根拠資料であり、1/5程度の手間で申請が可能となります。
ホテル用途におけるCASBEE-不動産評価の注意点
CASBEE-不動産は項目数が非常に少ないため、ホテル用途に限らず全用途でそれぞれ取りこぼしを最小限に抑えるよう注意が必要です。加点できる可能性が低い項目を見極め、どのスコアでリカバリーすべきかを検討する必要があります。
以下、CASBEE-不動産でホテル用途の評価をする場合、特に注意が必要な項目について紹介いたします。
1.エネルギー/温暖化ガス
省エネ基準義務化の施行時期、2024年4月の前後に注意が必要です。2024年4月より前に確認申請された建物と2024年4月以降に確認申請された建物で評価内容が異なります。2024年4月より前に確認申請されたホテルであればこれまでの他用途同様、実績値を用いることが可能です。
2.水
節水器具のご利用がある場合は、吐水量の数値次第で水使用量の計算値に反映することができ、標準の条件よりも有利な結果とすることが可能です。リフォーム等の実績がある場合は、積極的に資料を探してみましょう。
3.資源利用/安全
耐震性や設備性能は、設計時に既に決定事項のためスコアを動かすことが困難です。しかし、再生材利用やバリアフリーなど内容次第で加点ができる項目もありますので、あきらめずに仕上げ表などを見直しましょう。
4.生物多様性/敷地
本項目では公共交通機関の接近性に要注意です。ホテルは必ずしも駅から近い場所にあるとは限りません。駅から遠い立地である場合、マイクロバスの運行の有無がスコアに大きく左右します。また、海や山に近い景勝地に建設されているリゾートホテルなどは自然災害リスクおよびリスクに応じた適切な対策がなされていることも重要です。
5.屋内環境
客室の窓まわりの環境、昼光利用や自然換気性能がスコアに大きく影響します。ホテルでは客室やロビーに嵌め殺し窓を設置しているケースも見られますが、その場合自然換気性能ができないことによるスコアをどこで補うか検討する必要が生じます。
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まとめ
ESG や健康経営といった戦略において、企業が環境への取り組みを判断する指標として「保有している不動産において環境認証を取得すること」が重要な役割を担っています。
CASBEEファミリーのなかでも特に、CASBEE-不動産の認証件数が年々増加しています。
CASBEE-不動産は、竣工後1年経過した建築物でないと適用できないという制約はありますが、新築時に認証取得に至らなかったホテルも一度、環境認証評価にトライしてみてはいかがでしょうか。
CASBEE-不動産2024年度版は刷新されたばかりで、戸惑うことも多いかもしれませんが、お困りの際はお気軽にビューローベリタスにご相談ください。