コラム - 事例で見る遵法性調査(7)―直通階段に至る歩行距離について―

遵法性調査とは、既存建物を建築基準法などの法令やお客様の指定した法令に照らし合わせて適合性を調査する業務です。

企業に求められるコンプライアンスの内容は、建設時や既存建物売買・状況確認時、また労働安全への取り組み時において高度かつ多岐にわたっています。これら全内容を企業が独自に実践するのは容易ではありません。ビューローベリタスは第三者の立場からコンプライアンスに関する基準と実際の運用状況とのギャップを調査し、企業の経営リスクの低減に寄与しています。

「建物の適合状況を把握し今後の改善の資料としたい」という、あるビル所有者様からの依頼に基づいてビューローベリタスが実施した遵法性調査の事例を紹介します。

遵法性調査の実施事例

  • 【調査対象】物品販売店舗
  • 【経  緯】調査対象建物は地上5階・延べ床面積100,000㎡の物品販売店舗で、2以上の直通階段の設置が必要な建物であった。

調査対象建物の概要

  • ・確認申請済証交付日:2009年10月
  • ・延べ床面積:100,000㎡
  • ・構造:耐火構造
  • ・階数:5階
  • ・用途:物品販売店舗

調査結果

新築当時は間仕切りのない大部屋(約70m角)の2階店舗部分について、サービス動線用の通路を新設したことにより、新設通路付近から最寄りの直通階段に至る歩行距離が、建築基準法に定められた距離40m(物販用途で内装を準不燃材料としたもの)を超えてしまうことが判明した。

ポイント

法的根拠

直通階段に至る歩行距離については以下のとおり規定されています。

  • ・直通階段の設置

    建築基準法施行令第120条

建築物の避難階以外の階においては、避難階又は地上に通ずる直通階段を居室の各部分からその一に至る歩行距離が定められています。

用途及び階主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合
1 無窓の居室 30
2 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物販店舗(床面積10㎡超)などの主要用途の居室 30
3 病院、診療所(患者収容のもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等、などの主要用途の居室 50
4 1~3以外の居室 50
5 14階以下の階の居室、及び避難路の内装を準不燃材料としたもの 1~4の数値に10を加えた数値
6 15階以上の階の居室 居室及び避難路の内装が上記に該当しないもの 1~4の数値から10を減じた数値
居室、及び避難路の内装を準不燃材料としたもの 1~4の数値に準ずる
7 共同住宅の住戸で、その階数が2又は3であり、かつ、出入口が一の階のみにあるもの(メゾネット式共同住宅 )の当該出入口のある階以外の階 (主要構造部が準耐火構造であるものに限る) 40

*無窓の居室とは、令第116条の二(窓その他の開口部を有しない居室等)に定められた居室を示す
*内装を不燃化する範囲は、当該居室からの避難経路部分及び、これと一体になった部分の全て
*設計時に居室内什器備品等のレイアウトが予見できない場合は、余裕のある計画が望ましい

対応方法の具体例

売場から直通階段に至る距離が40mを超える部位を改善するため、歩行障害となっていた通路部分を撤去しました。

ビューローベリタスのサービス

上記でご紹介した事例やその他関連する事例について、ビューローベリタスでは「遵法性調査」サービスを提供しています。
具体的には、建築基準法・消防法を基準として建物の現状を精査し、問題点や改善すべき点について調査内容を報告します。現状の建物の法適合性を確認されたい場合は、遵法性調査の依頼をご検討ください。
「遵法性調査」以外にも既存建物や工事中の建物に対するさまざまなサービスを提供しております。お気軽にご相談ください。