前回はガイドライン調査の流れについてご説明しましたが、今回は「調査内容と必要な資料」についてご説明します。
1.ガイドライン調査内容
ガイドライン調査フロー図
図1 ガイドライン調査から確認申請への流れ
ガイドライン調査では調査機関が検査済証のない建築物と建設当時の建築基準関係規定との適合性を確認します。
調査は、依頼者が事前に準備した資料を基に図上および現地調査を行います。
図上調査
図上調査とは、依頼者から提出された資料に基づき、机上において調査対象建築物が「建築確認時の建築基準法令に適合しているか」を調査するものです。
図上調査では、確認申請済証、検査済証の内容と、提出された確認申請副本内容申請内容(建築物棟数、日付)が整合することを確認します。また、確認申請時に提出された申請図書が揃っていることを確認します。
- 確認申請図書がない場合、依頼者は、現況がわかる図書(設計図や施工図など)を提示する。
- 調査対象建物以外に確認申請済証や検査済証のない建築物等が図面上で確認された場合は、確認手続きがなされているかを確認する。
- 確認申請や検査手続きは行われているが、確認申請済証や検査済証がない場合、特定行政庁で記載台帳証明を取得することにより手続きが完了していることを確認することができる。
- 必要図書が確認できなかった場合、依頼者は、現況図書の作成を行う。
- 構造図、構造計算書がない場合、依頼者は、構造図と構造計算書を復元する。
- 構造図、構造計算書がない場合、依頼者は、ガイドライン調査に先立ち、構造部材の現地調査および調査結果報告書の作成を求められる場合がある。
現地調査
図上調査に続いて、現地調査を実施します。現地調査では、提出いただいた資料と調査対象建築物の照合を、目視または計測により行います。また、調査対象建築物の劣化の状況についても調査します。現地調査で「図書どおりでない部分」が確認された場合、報告書にその内容が記載されます。
調査機関は調査結果をまとめ、調査報告書を依頼者に提出します。
調査の結果、違反部分が確認されなかった場合、調査報告書は建物の増改築や用途変更確認申請の既存不適格調書の添付資料として利用することができます。なお、調査報告書は検査済証とみなされるものではありません。
調査により違反部分が確認された場合、特定行政庁との協議の上違反部分の是正を行なった後、確認申請の手続きが可能となります。調査を円滑に進めるためには、依頼者は事前に必要な資料を準備することが重要です。
2.必要な資料の準備における留意点
必要な資料を準備するうえで下記の点に留意が必要です。
- 依頼者は法適合状況調査に必要な図書、具体的には確認済証および確認済証に添付された図書などを準備する。
- 確認済証に添付された図書がない場合には、依頼者は、調査依頼に先立ち現地調査を行なって図書を再現する。
- 再現する図書は、確認申請に添付する図書と同様の審査に必要な情報を記載する。
- 躯体調査結果報告書は、調査結果だけではなく、調査結果と確認申請図書との整合性を確認する。
3.参考:ガイドライン調査に必要な資料
建築確認関係
- 確認済証および確認済証に添付された図書
- 計画変更に伴う確認済証および確認済証に添付された図書
- 増改築、大規模の修繕・模様替えや用途変更に伴う確認済証および確認済証に添付された図書
- 中間検査合格証および中間検査合格証に添付された図書
- 建築台帳記載証明書(建築確認証明書)
- 工事監理報告書 (地盤・基礎工事、鉄骨工事、鉄筋コンクリート工事などの状況や、主要構造部および主要構造部以外の構造耐力上主要な部分に用いる材料の種類、品質、形状および寸法等がわかるもの)
- 法第12条第5項の規定に基づく報告に関する資料
開発許可等関係 (調査対象としない場合は不要)
- 開発許可(変更)通知書等
- 宅地造成に関する工事の許可通知書等
- その他各法令に基づく行政への許可書・届出書・計画書等(例:土地区画整理法、河川法、地すべり等防止法などに基づく書面等)
- 行政との協議書・協定書等(例:都市計画法第32条の規定に基づく協議書等)
その他の建築基準関係規定(調査対象としない場合は不要)
- 各法令に基づく行政への届出書、許可書、計画書等(例:消防法、駐車場法、屋外広告物法などに基づく書面等)
その他の関係法令(調査対象としない場合は不要)
- 各法令に基づく行政への届出書、許可書、計画書等(例:各地方公共団体が定める条例・要綱などに基づく書面等)
定期調査・検査報告
- 特殊建築物等定期調査報告書(定期調査・検査報告の対象となる場合)
- 建築設備定期検査報告書
- 昇降機等定期検査報告書
- 消防設備等点検結果報告書
- 防火対象物定期点検結果報告書
- 浄化槽定期検査報告書
工事関連
- 竣工図、増改築図面、改修工事履歴、工事写真、現況図、竣工時引渡書類、ミルシート
その他
- 登記簿謄本、公図、敷地測量図境界確認書
※以上は参考であり、これらすべてを用意することが前提ではありません。また、このほかにも図書が必要になる場合があります。