2018年3月に運用開始された《LEED v4.1 O+M Beta版》を紹介します。
背景と概要
現在運用されている《LEED v4.0》は、2013年に発表されてから5年が経過しました。その概要は本コラムでも紹介していますので、ご参照ください。
コラム「LEED認証の取得件数が急増する理由と取得のメリット」
LEED v4.0は2016年11月に本格運用を開始しましたが、残念ながら実積は(USGBCも認めていますが)期待したほどではありません。これを受けて、大幅変更を加えたのがここで紹介するLEED v4.1 O+M Beta版です。現在、v4.0と併用されています。
今回のBeta版はO+M(既存)を手始めに、BD+C(一棟新築)とID+C(新築インテリア)、続いてResidential(住宅*)、最終段階ではND(街区)とCommunities & Citiesに導入される予定です。(* これまでのHomesが統合された概念)
USGBCは、今回のBeta版に運用データ登録プラットフォーム《ARC》(2016年リリース)を導入しています。これによりエネルギー等のデータの透明性を高め、LEEDユーザーの様々な意見を収集し、次のバージョン開発に向けて本格的な運用を予定しています(図1参照)。
また従来と同じく、得点に応じて4つのランクが付与されます(図2参照)。
《LEED v4.1 O+M Beta版》の運用について
建物入居後少なくとも1年が経過し、かつ毎月の実測データ(図3参照)を1年分集計しているプロジェクトが審査対象になります。
LEED v4.1 O+M Beta版では、v4.0に比べて審査項目が集約され、審査項目数が半分程度に減っています(図4参照)。
これまでのバージョンでは「必須項目(Prerequisite)」での得点はできませんでしたが、今回の新しいバージョンではそれが可能になっています(図5参照)。つまり、今回のバージョン変更によって効率的に得点が獲得できる評価内容になったわけです。
従来のv4.0 O+Mでは認証後5年間の有効期間が付与されていました。新しいv4.1では、認証維持のために毎年USGBCに実測データを提供する必要があります。
まとめ
v4.0より前のv2009で登録認証を受けているプロジェクトは非常に多いですが、v4.0に完全移行して以来、登録認証数は世界的に鈍化しています。日本を見ると、公開プロジェクトのうちv4.0で認証を受けたのはわずか2件にとどまっています。
他方、SDGsやESG投資など企業のサステナビリティに対する社会的責任に対する関心は一層高まっています。こうした状況にあって、これまでv4.0に対して保留もしくは躊躇していた企業に対して、今回運用を開始したv4.1は大きなインパクトをもたらすものとして期待されています。