WELL Health-Safety Ratingとは?取得の流れや費用も解説

健康にフォーカスした建物認証WELL(*1)を開発したIWBI(*2)が2020年7月に発表した「WELL Health-Safety Rating」は、感染症への対策(例:施設の消毒マニュアル、換気や水質管理等)などを評価するシステムです。
発表されてから2年近くが経ち、全世界で多くの施設がこの評価を受けています。

(*1) WELL:全世界62カ国、4,200以上のプロジェクトが登録・認証されている建物健康認証システム。
(*2) IWBI:IWBI(International WELL Building Institute™):2013年に公益法人IWBIが設立され、IWBIとGreen Business Certification Inc.(GBCI)との共同事業によって第三者がWELL認証を運営しています。

→ WELL認証適合性検証

1. WELL Health-Safety Ratingの目的・狙い

WELL Health-Safety Ratingは、組織・会社が、感染症に対するベストプラクティス実践に役立てるために設計されています。取り組みについては、公衆衛生の専門家・ウイルス学者・政府関係者・学者・ビジネスリーダー・建築家などで構成されたIWBIタスクフォースにより、エビデンスベースで開発されたものになっています。
取り組みは、既に運営されているWELL認証v2から抜粋された23個で構成されており、最低15個要件を満たすことで認証されます。
認証されるとシールが配布されます。そのシールをエントランスなど多くの利用者が目にできる場所に掲示することで、コロナリスクへの警戒を軽減することを目的としています。
取り組みに応じたポイントはWELL認証v2にも適用できるようになっており、WELL認証のさらなる普及も企図しています。

2. 認証登録状況(2022年2月5日現在)

認証登録数(全世界):24,879
認証登録数(日本):68
取得済(日本):33
進行中(日本):35
内訳用途別(取得・進行中共):オフィス35、物流倉庫10、商業施設9、データセンター6、ホテル2、製造2

3. 認証までの流れ

認証までの流れは一般的な認証と同様です。

  • ① 取り組み内容の確認、実現可能性の精査
  • ② 登録
  • ③ 審査資料の提出(オンラインのみ)
  • ④ 審査
  • ⑤ 認証

② ~⑤までの期間は大よそ3~6か月程度が見込まれます。WELL認証とは異なり現場審査はなく、あくまでも書類のみの審査となります。

4. 認証費用(申請者が協会へ払う審査代金)

  • • 1プロジェクトあたり4,200USD
  • • 複数登録で1プロジェクトあたり17~2,500USD(規模による)
  • • 1万人以上を収容し(例:大型リゾート施設、交通量の多い空港、大規模なイベント会場)4種類以上用途がある施設は12,600USD

5. WELL Health-Safety Ratingの取り組み概要

取り組みは、新築・既存両方に対応しており、用途についても、スポーツ&エンタテイメント、映画館、ホテル・宿泊施設、レストラン、教育施設、店舗、オフィス、生産施設といった甚大な被害を受けた施設のみならず、他の用途も受け付けているようです。
認証は下の5個のメインテーマ(⑥イノベーションを除く)それぞれにある、取り組み合計23個のうち、最低15個要件を満たすことで取得できます。この認証はWELL認証のような得点での評価ではなく、項目の必須・加点の区別や評価のランク(プラチナ・ゴールド・シルバー)もありません。

参考リンク:取り組み内容の詳細(英語)

  • ① 洗浄および消毒手順 Cleaning and Sanitization Procedures
    1. • 手洗いをサポート Support Handwashing
    2. • 表面接触を減らす Reduce Surface Contact
    3. • 清掃方法を改善する Improve Cleaning Practices
    4. • 優先するクリーニング製品を選択 Select Preferred Cleaning Products
  • ② 緊急事態準備プログラム Emergency Preparedness Programs
    1. • 緊急時の準備計画を作成する Develop Emergency Preparedness Plan
    2. • 事業継続計画の作成 Create Business Continuity Plan
    3. • 健康的な再入国計画 Plan for Healthy Re-Entry
    4. • 緊急時のリソースを提供する Provide Emergency Resources
    5. • 緊急時の回復力を強化 Bolster Emergency Resilience
  • ③ 保健サービスのリソース Health Service Resources
    1. • 病気休暇を提供する Provide Sick Leave
    2. • 健康上の利点を提供する Provide Health Benefits
    3. • メンタルヘルスの回復をサポート Support Mental Health Recovery
    4. • インフルエンザワクチンを促進する Promote Flu Vaccines
    5. • 禁煙環境を推進する Promote a Smoke-Free Environment
  • ④ 空気および水質管理 Air and Water Quality Management
    1. • 換気を評価する Assess Ventilation
    2. • 空気処理システムの評価と維持 Assess and Maintain Air Treatment Systems
    3. • レジオネラ菌管理計画を策定する Develop Legionella Management Plan
    4. • 空気と水質の監視 Monitor Air and Water Quality
    5. • カビと湿気の管理 Manage Mold and Moisture
  • ⑤ 利害関係者の関与とコミュニケーション Stakeholder Engagement and Communication
    1. • 健康とウェルネスを促進する Promote Health and Wellness
    2. • 食品検査情報を共有する Share Food Inspection Information
  • ⑥ イノベーション Innovation
    1. • WELL Health-Safetyを革新する Innovate WELL Health-Safety
    2. • ウェル認定プロフェッショナル(WELL AP) WELL Accredited Professional (WELL AP)

→ WELL認証適合性検証

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