建物施工の品質監査とは、設計図書や法令などに従って施工が適切に行われているかを確認する工程です。品質監査は建物の品質および安全確保に欠かせないもので、建物の購入者に安心感と信頼を与えるためにも重要だといえます。
この記事では、品質監査の概要と必要性、品質監査を実施するメリット、ビューローベリタスジャパンが手がける品質調査の流れ、2社の導入事例について解説します。
建物施工の品質監査とは
建物施工の品質監査とは、マンションなどの共同住宅において、設計図書や関連する法律などに沿って工事が進行しているかを確認する監査業務です。品質監査の対象は柱や梁などの寸法に加え、建物の完成後には確認できなくなる鉄筋コンクリート内部の配筋など、さまざまな部分が含まれます。
品質監査は自社で実施することも可能ですが、リソースやクオリティの面を重視する場合、第三者機関に依頼することが一般的です。
施工者、監理者とは異なる視点から品質を監査することで、建物の購入者や利用者に安心と信頼を与えることができます。
建築基準法第7条の3第1項によると、以下のような建築物は検査を実施するように定められています。
一 階数が三以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程
二 前号に掲げるもののほか、特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して、区域、期間又は建築物の構造、用途若しくは規模を限つて指定する工程
上記の2の項目に関しては、法令にも記載があるように地域によって対象となる工程が異なる場合があります。
なぜ品質監査が必要とされているのか
厚生労働省の『労働力調査 【表5】年平均結果「第12・13回改定日本標準産業分類別就業者数」』によると、2024年の建設業就業者は477万人です。
2002年の618万人から年度ごとに多少の上下はしつつも、その数は毎年減少していることがわかります。
少子高齢化による人材不足に加え、技能労働者の不足による人件費の高騰も進んでいます。建物の安全性に関わる、適正な施工を確保できない状況が危惧されている状況です。
実際の建設現場では、施工ミスや施工不良などにより、建築物に問題が発生するケースがあとを絶ちません。
品質監査を実施するメリット
品質監査を実施することで、建築主が承認済の品質計画に従って適切に建築工事が実施されているかを第三者の視点で確認可能です。
第三者の客観的な視点による監査が現場に入ることで施工者側に緊張感がもたらされ、施工ミスの軽減につながることが期待できます。
既存の建築基準法(中間検査)・品確法(建設性能評価)では、建築物の1フロアのみ調査をするのが基本です。一方、ビューローベリタスジャパンの品質監査では、「全フロア」(前述の法定検査のフロアを除く)を確認できます。
全フロアの監査を実施するため、法定検査の範囲外で発見されなかった不具合も、ビューローベリタスジャパンの品質監査なら発見可能です。
さらに、エンドユーザー様や不動産投資事業者様には、購⼊予定の建物が高い品質管理のもとで施工された、安全で安心な建物であることアピールできることもメリットのひとつです。
ビューローベリタスジャパンが行う品質監査の流れ
ビューローベリタスジャパンでは、各工事工程(杭工事、配筋工事、溶接工事、スリット設置工事、コンクリート工事、断熱材工事、防水工事、タイル工事など)において、監査対象図書をもとに、品質を確保するための施工がされているかの監査を実施します。
品質監査サービスは、発注者の要求に合わせて調査内容をカスタマイズできます。
また、監査は一級建築士が対応する点も、ビューローベリタスジャパンが選ばれる理由です。
品質監査の実施事例の紹介
鉄筋コンクリート構造やその他の構造の基礎部分などの、鉄筋工事は建物の骨組みとなる重要な工事です。しかし、コンクリートの打設後には配筋部分は見えなくなり、施工後の品質確認が難しくなります。
そこで必要なのが、施工者・監理者による品質管理記録が適切に行われているか、書面にて確認する「配筋監査」です。配筋監査の実施により、工事現場において鉄筋工事が設計図や施工基準どおりに確実に行われていることを、コンクリート打設前にチェックできます。
次に、ビューローベリタスジャパンの品質監査を導入した、2社の事例を紹介します。
不動産デベロッパー A社の事例
A社は、品質管理体制の強化を目的に、ビューローベリタスジャパンの品質監査を導入されました。
マンションの着工数と施工会社が増加したことで、社内での自己管理では品質の安定化を図るのは難しいと判断。マンションの施工不良に関する報道があった時期に、購入者からの問い合わせが増えたことも導入を後押ししたきっかけです。
結果的に、購入者に安心感を持ってもらうため、指定確認検査機関で信用度が高いビューローベリタスジャパンを採用。
また、監査のスケジュールや回数、監査方法など柔軟に対応できること、監査結果報告の速さ、品質確保につながっていることなどの面で評価を受けています。
不動産デベロッパー B社の事例
B社では、駅や駅周辺の商業施設などを手がけています。
以前は品質管理を自社で行なっていましたが、物件数が多いうえに、施工現場のスケジュールに合わせて確認するのは困難な作業でした。そこで品質の確認作業を依頼できる外部サービスを探していたところ、ビューローベリタスジャパンの採用を決められました。
同社は、ビューローベリタスジャパンの技術監査実績、および専門的な技術力に着目。客観的に第三者の立場から、適正な品質確保を目的とした技術監査を依頼できると総合的に判断されました。
構造のプロフェッショナルによる確認で設計図書どおりの施工が実施され、「求める品質管理を実現できた」と高い評価を受けています。
まとめ
建物施工の品質監査は、安全性を確保するうえで重要な役割を持ちます。建築基準法を遵守し、設計図書に沿った施工されているかを第三者が確認することで、安全性だけではなく建物の価値自体を高めることが可能です。
しかし、品質管理を自社で実施する際、現場のスケジュールに合わせて確認しなければならず、相応のリソースも必要です。自社で品質の安定化を図れないと判断した場合は、全国の物件で品質監査を実施するビューローベリタスジャパンの導入がおすすめです。
ビューローベリタスジャパンでは確認検査機関を有しており、高い専門性を持つプロフェッショナルが調査を実施します。品質監査業務は年間130物件実施しています。
自社で品質管理を実施する企業様は、豊富な検査実績を持つビューローベリタスジャパンの導入をご検討ください。