LEED Zeroとは?ネットゼロ・カーボンニュートラル・LEEDとの違いを解説

LEED Zeroは、既存のLEED認証を受けた建物が「炭素」「エネルギー」「水」「廃棄物」のいずれかの分野において、「排出・消費・使用・処分量の実質ゼロ」を達成していることを証明するプログラムです。

世界的に脱炭素経営が重視されるなか、LEED Zeroは企業が投資家やステークホルダーに対し環境問題への取り組みを客観的に示すための重要な指標として注目が高まっています。

この記事では、LEED Zeroの基本概念やネットゼロ・カーボンニュートラル・LEEDとの違い、認証取得の流れを解説します。

LEED Zeroとは

LEED Zeroとは、建物の「温室効果ガス排出量やエネルギー消費量、水の使用量、廃棄物の最終処分量が、削減・再利用などによって実質ゼロ」であることを証明するプログラムです。米国グリーンビルディング協会(USGBC)が認証しています。

企業は以下4つのカテゴリのうち、いずれかひとつを取得することでLEED Zero認証を得られます。

カテゴリ 概要
LEED Zero Carbon(炭素) 過去12ヵ月間のエネルギー利用にともなう温室効果ガス排出量が実質ゼロであることを証明する認証
LEED Zero Energy(エネルギー) 建物内における年間一次エネルギー消費量と再生可能エネルギーなどによる供給量が等しく、エネルギー収支が実質ゼロであることを証明する認証
LEED Zero Water(水) 雨水や再利用水の活用などにより、建物内における年間上水使用量が実質ゼロであることを証明する認証
LEED Zero Waste(廃棄物) 建物の運用中に発生する廃棄物の削減やリサイクルなどにより、埋め立て・焼却処分実質ゼロを達成したことを証明する認証
※プラチナレベルで認証


日本国内でもLEED Zeroへの関心は高まっており、2024年4月には大成建設株式会社が国内で初めて「LEED Zero Water」認証を取得するなど、導入事例も増えつつあります。

LEED Zeroとネットゼロ・カーボンニュートラル・LEEDの違い

LEED Zeroに関連する用語として、「ネットゼロ」「カーボンニュートラル」「LEED」が挙げられます。いずれも環境負荷低減に関する概念ですが、役割や位置付けは大きく異なるため、それぞれを区別して理解することが大切です。

以下に、各用語の定義と特徴を簡潔にまとめました。

用語 種別 定義
LEED Zero 認証制度 既存のLEED認証建物が、「温室効果ガス排出量・エネルギー消費量・水の使用量・廃棄物の最終処分量実質ゼロ」を達成したことを証明する認証制度
ネットゼロ 目標・概念 温室効果ガス排出量を可能な限り削減し、吸収・除去量によって残余分を相殺して実質ゼロを目指す概念
カーボンニュートラル 状態・目標 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、プラスマイナスゼロの状態にすること
LEED 認証制度 建物の立地、水利用、エネルギー効率、材料、室内環境などを総合評価する認証制度


ここでは、LEED Zeroと「ネットゼロ」「カーボンニュートラル」「LEED」との違いを詳しく紹介します。

ネットゼロとの違い

ネットゼロとは、温室効果ガスの排出量から吸収・除去量を差し引き、最終的に実質ゼロにすることを目指す「目標」そのものを指します。

それに対して、LEED Zeroは、そのネットゼロを建物の運用において実際に達成したことを客観的に証明するための「認証制度」です。

つまり、目標概念であるネットゼロに対し、その達成を客観的に裏付け、「建物から排出される温室効果ガスの量が実質ゼロになったこと」を可視化して証明するための手段がLEED Zeroだといえます。

カーボンニュートラルとの違い

カーボンニュートラルとは、日本政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」に代表されるように、社会全体で温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするための「取り組み」、またはその「達成状態」です。

一方、LEED Zeroのカテゴリのひとつである「LEED Zero Carbon」も同様のゴールを掲げています。ただし、「既存建物における過去12ヵ月の運用実績において、温室効果ガス排出量が実質ゼロであったか」を評価する点に、カーボンニュートラルとの違いがあります。

カーボンニュートラルについては、以下の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。

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LEEDとの違い

LEEDは建物と敷地利用の環境性能評価システムであり、USGBCが開発・運用している国際的な認証制度です。

そのLEED認証を補完する目的で2018年にUSGBCが開発した認証プログラムが、LEED Zeroです。

従来のLEED認証では、建物の総合的な環境性能を評価します。一方で、LEED ZeroはLEED認証を基盤としつつ、特定の資源(炭素・エネルギー・水・廃棄物)における「排出量・消費量・使用量・処分量ゼロ達成」に特化して評価する点が違いです。

すでにLEED認証を取得している建物が、ネットゼロ目標の達成を検証し、グリーンビルディングにおける市場リーダーシップを示すものです。

LEED認証について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

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脱炭素社会を目指す世界的な動き

脱炭素化は、もはや一部の環境活動にとどまるものではなく、世界全体が共通の目標として取り組むグローバル課題になっています。

実際に、2050年前後の「カーボンニュートラル達成」を宣言している国や地域は150以上にのぼり、その規模は世界全体のGDPの約94%を占めるに至っています。

参考

各企業の脱炭素化へ向けた取り組みも活発化しているのが実情です。例えばApple社はサプライチェーン全体での脱炭素化を推進し、2015年比で温室効果ガス排出量を60%以上削減したことを2025年4月に発表しました。

また、日本を代表するトヨタ自動車も「トヨタ環境チャレンジ2050」を掲げ、製造から廃棄までのライフサイクル全体でCO2排出ゼロを目指す包括的な脱炭素戦略を進めています。

このように、政府と企業が一体となって脱炭素化を加速させるなかで、建物のネットゼロ達成などを客観的に証明できるLEED Zeroは、環境経営を強化するうえで重要なツールとして注目されつつあります。

LEED Zeroの認証までの流れ

LEED Zero認証を取得するまでの流れは、次のとおりです。
なおLEED Zero認証を取得するには、事前にLEED認証のBD+C (Building Design and Construction)もしくはO+M (Operations and Maintenance) が必要となります。

1.USGBCへのプロジェクト登録
2.ネットゼロの閾値を満たしていることを確認
3.過去12ヵ月間の運用データと裏付けとなるドキュメントをアップロード
4. 審査料を支払い、申請手続きを実施
5. GBCIによる審査を経て、基準を満たすとLEED Zero認証が付与

ただし、認証の有効期間は「3年間」であり、更新するためには継続的なデータ追跡と改善、再申請が必要です。

なお、ビューローベリタスでは、LEEDおよびLEED Zero認証取得に向けたサポートサービスを提供しています。認証の取得を検討している場合は、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

LEED Zeroは従来のLEED認証を基盤とする認証制度で、建物の特定資源(炭素・エネルギー・水・廃棄物)における「排出量・消費量・使用量・処分量の実質ゼロ」を客観的に証明するプログラムです。世界的に脱炭素化への要求が高まるなか、建物の環境パフォーマンスを客観的なデータに基づいて示すことは、企業のESG経営を強化するうえで大きな価値をもたらします。

ビューローベリタスでは、LEEDおよびLEED Zeroの認証取得に向けた専門的なサポートを提供しています。自社の建物やプロジェクトに国際的なサステナビリティ評価を付加したいとお考えのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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