事務所の非常照明の設置基準に関する遵法性調査事例

遵法性調査とは、既存建物を建築基準法などの法令やお客様の指定した法令に照らし合わせて適合性を調査する業務です。

企業に求められるコンプライアンスの内容は、建設時や既存建物売買・状況確認時、また労働安全への取り組み時において高度かつ多岐にわたっています。これら全内容を企業が独自に実践するのは容易ではありません。ビューローベリタスは第三者の立場からコンプライアンスに関する基準と実際の運用状況とのギャップを調査し、企業の経営リスクの低減に寄与しています。

あるビル所有者様からの「建物の適合状況を把握し今後の改善の資料としたい」という依頼に基づいて、ビューローベリタスが遵法性調査を実施した事例を紹介します。

  • 【調査対象】事務所
  • 【経  緯】調査対象建物は延べ床面積が1,000㎡を超えており、非常用の照明装置を設置する必要がある建物であった。検査済証取得時、事務所(1)内に非常用の照明装置は設置されておらず、また会議室も設置されていなかったが、2009年7月に事務所(1)の間取りを変更し、会議室が設置された。
  • 【調査内容】非常用の照明装置の遵法性調査

調査対象建物(*)の概要

  • 確認申請済証交付日:2003年8月1日
  • 検査済証交付日:2004年2月1日
  • 延べ床面積:1,800㎡
  • 構造:耐火構造
  • 階数:3階
  • 用途:事務所(2009年7月1日間仕切りを変更)

(*) 建築基準法施行令第126条の4に該当し、非常用の照明設備設置が必要な建物

現状

検査済証取得後、事務所(1)内に会議室を設置した。

事務所(1)
・執務室:居室の床面積の1/20以上の採光面積を有する開口部が設けられている。
・会議室:居室の床面積の1/20以上の採光面積を有する開口部が設けられていない。
 屋外への出入り口に至る歩行距離は25m(<30m)。

廊下
・採光上、有効に直接外気に開放されていない。

遵法性調査事例 対象建物

調査結果

会議室に非常用の照明装置が設置されていたが、事務所内には設置されていなかった。調査依頼者からは、「執務室は告示の適用を受けることができることから、非常用の照明装置を設置しなかった」との報告を受けた。

【非常用の照明装置を設置しなかった理由】

      1. 会議室は避難階に設置されている
      2. 会議室から屋外への出口に至る歩行距離は25mであり、30m以下である
      3. 会議室から屋外への出口に至る経路に避難上障害となるものはない
      4. 執務室は採光に有効な部分の開口部の面積が事務所(1)の1/20を有している

※上記1.~3. 建築基準法施行令第126条の4、建設省告示第1411号第一号
 上記4. 建築基準施行令第116条の2第1項第一号

指摘内容

事務所(1)の会議室には居室の床面積の1/20以上の採光面積を有する開口部がなく(採光上無窓の居室)、非常用の照明装置の設置が必要となる居室である。執務室には居室の床面積の1/20以上の採光面積を有する開口部が設けられているが、採光無窓の居室である会議室から地上に通ずる通路に該当する。
執務室が告示適用により、非常用の照明装置の設置緩和を受けることができたとしても、会議室からの避難経路を兼ねる場合、執務室には非常用の照明装置を設置する必要がある。

ポイント

非常用の照明装置の設置緩和を受けることができる居室であっても、居室が避難経路を兼ねている場合、非常用の照明設備の設置が必要となる。


ビューローベリタスのサービス

ご紹介した事例やその他関連する事例について、ビューローベリタスでは「遵法性調査」サービスを提供しています。具体的には、建築基準法・消防法を基準として建物の現状を確認し、問題点や改善すべき点についてご報告いたします。現状の建物の法適合性を確認されたい場合は、遵法性調査の依頼をご検討ください。

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