防煙区画における吹抜け部分の取り扱いに関する遵法性調査事例

遵法性調査とは、既存建物を建築基準法などの法令やお客様の指定した法令に照らし合わせて適合性を調査する業務です。

企業に求められるコンプライアンスの内容は、建設時や既存建物売買・状況確認時、また労働安全への取り組み時において高度かつ多岐にわたっています。これら全内容を企業が独自に実践するのは容易ではありません。ビューローベリタスは第三者の立場からコンプライアンスに関する基準と実際の運用状況とのギャップを調査し、企業の経営リスクの低減に寄与しています。

「建物の適合状況を把握し今後の改善の資料としたい」という、あるビル所有者様からの依頼に基づいてビューローベリタスが実施した遵法性調査の事例を紹介します。

遵法性調査の実施事例

  • 【調査対象】ショッピングセンター
  • 【経  緯】調査対象建物は特殊建築物で延べ床面積が500㎡を超えており、排煙設備の設置を要する建物であった。

調査対象建物の概要

  • ・確認申請済証交付日:2008年7月20日
  • ・検査済証交付日:2009年5月31日
  • ・延べ床面積:29,000㎡
  • ・構造:耐火構造
  • ・階数:2階
  • ・用途:ショッピングセンター
  • ※建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに、「間仕切壁、天井面から50cm以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので、不燃材料で造り、又は覆われたもの(防煙壁)で区画」されていない。

調査結果

物販エリアの一部が避難階の直上階のみに通ずる吹抜けとなっていた。
2階天井上部に排煙窓が設置されており、手動開放装置により窓の開放が行われる構造となっていた。
排煙窓手動開放装置は、吹抜けに面する防煙区画内の2階部分のみに設置されていた。
排煙手動開放装置は一の防煙区画内において、各階に設置する必要があることを指摘した。

ポイント

法的根拠

防火区画については以下のとおり規定されています。

  • ・防煙区画について
    建築基準法施行令第126条の2第1項、第126条の3第1項

対応方法の具体例

今回は吹抜け部分の防煙区画の取り扱いについて一例をご紹介します。

排煙設備を要する建築物は、各階ごとに防煙区画を構成することを原則としています。
ただし、吹抜けとなっている部分の面積が大きく、かつ、避難上支障がない場合、一の防煙区画とすることができます。その場合の手動開放装置の設置位置は各階の避難出入り口付近の見やすい位置に設置し、いずれの手動開放装置によっても排煙口が開放できる必要があります。

ビューローベリタスのサービス

上記でご紹介した事例やその他関連する事例について、ビューローベリタスでは「遵法性調査」サービスを提供しています。
具体的には、建築基準法・消防法を基準として建物の現状を精査し、問題点や改善すべき点について調査内容を報告します。現状の建物の法適合性を確認されたい場合は、遵法性調査の依頼をご検討ください。

→ 遵法性調査

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