はじめに
2018年9月14日のコラム「LEED v4.1 O+M Beta版は起爆剤になるか」でLEEDv4.1を紹介しましたが、約1年後となる今回はv4.1Beta版の現状について紹介します。
2018年9月当時には登場していなかったBD+C(一棟新築)とID+C(部分評価)もv4.1が公開され、さらにその後、ResidentialとCities and Communitiesも仲間入りしました。 このバージョンはBeta版であり、正式運用までの流れは図1のとおりです。USGBCによると、現在はProposalsの段階まで来ており、ステークホルダーがアイデアを出し、委員会で内容確認する段階のようです。正式運用までに3ステップ(Comments、Vote、Goals)が残されています。
LEED v4.1の登録・認証プロジェクト数
現状の登録数はこちらのURLから入手できます。
→ https://www.usgbc.org/projects
表1 登録・認証プロジェクト ※ダウンロードしたCSVから一部抜粋
表2はv4.1の現状です。総登録認証数は574件、各カテゴリーの内訳は以下のとおりです。
表2 v4.1システム別登録・認証プロジェクト数
システム | 登録・認証プロジェクト数 | うち日本のプロジェクト数 |
---|---|---|
BD+C(一棟新築) | 55 | 0 |
ID+C(部分評価) | 27 | 0 |
O+M(既存一棟・部分) | 469 | 2 |
一方、2016年11月より正式運用されている現行のv4.0は総登録認証数は14,564件、各カテゴリーの内訳は表3のとおりです。
表3 v4.0システム別登録・認証プロジェクト数
システム | 登録・認証プロジェクト数 | うち日本のプロジェクト数 |
---|---|---|
BD+C(一棟新築) | 10,690 | 23 |
ID+C(部分評価) | 2,152 | 11 |
O+M(既存一棟・部分) | 1,742 | 4 |
まずv4.1では、O+M(既存一棟・部分)開始時期が他のシステムよりも早いため、総プロジェクト数は増加傾向にあるものの、O+Mとその他のシステム間で大きな差が発生しています。
ビューローベリタス中国支社でv4.1 O+Mをサポートし、認証ランクゴールド(60点以上)を5プロジェクトにもたらした担当者にv4.0との違いをヒアリングしました。
一年間のエネルギーデータと水の使用量など実績データを回収する必要はあるものの、データがそろえば、v4.1は認証までの時間が従来(v4.0)よりもはるかに短く、数ヶ月単位です。他の環境認証に比べ、LEEDは認証までに長い時間を要することがデメリットの一つとなっていましたが、ここが大きく改善されているとのことです。
一方、BD+CやID+Cは、エネルギーシミュレーションの評価方法および基準が変更になったため、計算がv4.0に比べ複雑化しており、登録者数は今のところ延びていません。ただこれらはリリースが2019年1月でO+Mよりスタートが遅いため、今後の動向を追跡していきます。
まとめ
v4.0より前のv2009で登録認証を受けているプロジェクトは非常に多いですが、v4.0に完全移行して以来、LEEDの登録認証数は世界的に鈍化しています。
一方、SDGsやESG投資など企業のサステナビリティに対する社会的責任に対する関心は一層高まっています。こうした状況にあって、今回紹介したv4.1が正式運用されたときに、より地球環境への貢献を高めつつ、利用しやすいシステムになって、多くの企業に広く普及することを期待します。