WELL v2 とは?正式版とパイロット版の違いも解説

はじめに

既に幾度か当コラム等で紹介しているアメリカの建築物健康認証WELLは、2016年にv1.0が発表され、主にオフィス用途のプロジェクトで使われてきました。2018年にはv2パイロット版の登場により、全ての用途に応じたシステムに進化を遂げたことで、パイロット版でありながら登録プロジェクト数が飛躍的に増えました。その多くのプロジェクトからのフィードバックを取り入れ、2020年9月に正式版としてv2が発表されました。今回は正式版とパイロット版との違いなどをお伝えします。

【WELL認証紹介記事】

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正式版 WELLv2

  1. ① 認証最低点=40点

    パイロット版ではWELL認証の最低点が50点となっていましたが、正式版ではWELL Core認証と同様に、40点(ブロンズ認証)が設定されました。

  2. ② 取得ランクに応じた各コンセプト(空気、水などの大項目)の最低点決定

    WELL認証は、仮にプロジェクトの合計点が80点を達成していたとしても、各コンセプトの最低点が3点以上ないとPlatinumを取得できない仕組みになっています。一方、主にテナントビルで利用されるWELL Core認証は、認証ランクによるコンセプト(大項目)ごとの最低点が設定されていません。

    認証ランクWELL 認証WELL Core認証
    コンセプト最低獲得点数コンセプト最低獲得点数
    Bronze(40-49点) 0 0
    Silver(50-59点) 1 0
    Gold(60-79点) 2 0
    Platinum(80-) 3 0
  3. ③ 取り組み項目数の変更

    v2パイロット版では取り組み数が全部で117個(必須23、加点94)でしたが、正式版では108個(必須24、加点84)となりました。v2パイロット版でCommunityカテゴリーの加点項目だったEmergency Preparednessが、正式版では必須に変わりました。

  4. ④ パイロット版で登録したプロジェクトでも、正式版の内容で取り組むことも可能

    パイロット版と正式版では、同じ名前の取り組み項目でも内容に差異が若干あるものがありますが、どちらの内容で取り組んでもよいとされました。それを可能にしたのが「v2-SkyBridge」という読み替えシステムです。ただし全てのパイロット版の内容が正式版で対応できているわけではないため、SkyBridgeの読み替え表を見て、決定する必要があります。

    img_201124.png

  5. ⑤ v2パイロット版とv1.0については今年の12月31日まで登録可能

    2021年からは正式版v2のみ登録可能になります。必須項目に変わったCommunityカテゴリーのEmergency Preparednessの達成可否によっては、2020年中にパイロット版で登録するなどの判断をすることができます。

まとめ

今回、WELL v2正式版の決定事項をお伝えしました。パイロット版との違いによるメリット・デメリットが各プロジェクトの状況に応じて出てくると思いますが、今回お伝えした内容が、プロジェクト登録をご検討されている皆様のお役に立てれば幸いです。
日本、とりわけ都市部でCovid-19の感染が拡大し、リモートワークが常態化しつつあります。そのような状況下で、オフィス空間など複数人が利用する空間に求められる健康安全性はより高まることが予想されます。今回紹介したWELL認証が、誰もが安心して空間を選択する一助として多くの方に認知されていくことを願います。

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