「GX ZEH」とは?新たな省エネ住宅の基準と関連する認証制度を解説

2050年のカーボンニュートラル実現へ向けて、省エネ性能の高い住宅として普及が進んできた「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の基準をさらに引き上げる「GX ZEH」「GX ZEH-M」が注目されています。

2027年4月以降に建築される戸建て住宅においてはGX ZEHが、集合住宅においてはGX ZEH-Mが高性能住宅の新たな指標として位置付けられる見込みです。

また、住宅分野に限らず、建築物全体で省エネ基準の厳格化が進んでおり、非住宅用建築物の省エネ性能を評価する「ZEB認証」、建築物の環境性能を総合的に評価する「CASBEE認証」といった制度の重要性も高まっています。

この記事では、「GX ZEH」および「GX ZEH-M」の特徴を解説するとともに、「ZEB」をはじめとする関連認証制度についても紹介します。今後、住宅やビルの建築を検討している方は必見です。

「GX ZEH」「GX ZEH-M」とは?

2025年9月、経済産業省はZEHの新定義となる「GX ZEH(グリーントランスフォーメーション・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」および「GX ZEH-M」の内容を発表しました。ここでは、新たな省エネ住宅の定義と設定されるに至った背景を解説します。

2027年4月以降に適用される新たなZEH

GX ZEHとは、2027年4月以降に戸建て住宅を建築する際に適用される予定の新たなZEHの考え方です。

経済産業省は、GX ZEHを「外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーなどにより年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅」と定義付けています。

GX ZEHは省エネ性能の高い住宅の牽引役として機能してきたZEHをさらに発展させる目的で設定されるもので、次の3つの観点が盛り込まれています。

(1)2050年の目標達成(新築・中古住宅すべての平均で従来のZEH水準の省エネ性能を確保)を牽引する省エネ性能
(2)再生可能エネルギーの利用など電力の自家消費拡大による住宅ごとのエネルギー自給率の向上
(3)ZEH Oriented・ZEH-M Orientedの適用条件の見直し

引用:経済産業省「GX ZEH・GX ZEH-M 定義《戸建住宅・集合住宅》」

「GX ZEH」「GX ZEH-M」が設定された背景

ZEHの定義が見直された背景には、「2050年カーボンニュートラルの達成」という国全体の大きな目標があります。「2050年カーボンニュートラル」という国全体の大きな目標を達成するためには、産業部門や運輸部門だけでなく、私たちの日常生活における取り組みも極めて重要です。特に、住宅からのCO2排出削減は大きな課題のひとつとされています。

現状、日本におけるCO2排出量(2023年度)のうち、家庭部門が14.9%を占めています。
これは、各家庭で使われる電気やガスを作るために発電所などで排出されるCO2排出量を合算した数値です。

そのため、脱炭素社会を実現するには、住宅分野における省エネ対策の強化が欠かせません。

こうした状況を受け、国は住宅業界向けに次の2つの政策目標を掲げています。

(1)2030年までに新築住宅の省エネ基準をZEH水準まで引き上げること
(2)2050年時点で新築・中古住宅のストック全体の平均でZEH水準の省エネ性能を確保すること

これらの目標を達成すべく、省エネ住宅の牽引役として普及してきた戸建て住宅向けのZEHおよび集合住宅向けのZEH-Mの基準が見直されたのです。

「GX ZEHシリーズ」と「GX ZEH-Mシリーズ」の違い

従来のZEH・ZEH-Mと同様、GX ZEH・GX ZEH-Mにも性能基準に応じた複数の区分(GX ZEHシリーズ、GX ZEH-Mシリーズ)が設定されています。種類別のおもな性能基準は以下の表のとおりです。

種類 要件
GX ZEH+
GX ZEH-M+
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 定置用蓄電池の導入(GX ZEH+)
  • 一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーなどを含む)の削減率115%以上
GX ZEH
GX ZEH-M
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 定置用蓄電池の導入(GX ZEH)
  • 一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーなどを含む)の削減率100%以上115%未満
Nearly GX ZEH
Nearly GX ZEH-M
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 定置用蓄電池の導入(Nearly GX ZEH)
  • 一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーなどを含む)の削減率75%以上100%未満
GX ZEH-M Ready
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーなどを含む)の削減率50%以上75%未満
GX ZEH Oriented
GX ZEH-M Oriented
共通要件のみ

<共通要件>

  • 断熱等性能等級6以上
  • 一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーなどを除く)の削減率35%以上
  • 高度エネルギーマネジメントの導入(戸建て住宅)

制度開始までの移行期間はどうなる?

GX ZEHおよびGX ZEH-Mの適用開始は2027年4月を予定していますが、すでにこれらと同水準の省エネ性能を持つ住宅が導入されています。

それが、2025年度実施の「子育てグリーン住宅支援事業」および2026年度実施予定の「みらいエコ住宅2026事業」で補助対象となっている「GX志向型住宅」です。

GX志向型住宅のおもな要件は、以下のとおりです。

  • 断熱等性能等級6以上
  • 一次エネルギー消費量の削減率が再生可能エネルギーを除いて35%以上
  • 一次エネルギー消費量の削減率が再生可能エネルギーを含めて原則100%以上
  • 高度エネルギーマネジメントの導入

前述のGX ZEH・GX ZEH-Mの性能基準とほぼ同水準となっていることから、GX志向型住宅はZEHの定義見直しに先行するものといえます。

従来のZEHとGX ZEHの違い

GX ZEHやGX ZEH-Mは、従来のZEH・ZEH-Mと比べて、どのような点が強化されているのでしょうか。それぞれの性能基準の違いを以下の表にまとめました。

GX ZEH/GX ZEH-M ZEH/ZEH-M
断熱等性能等級 等級6 等級5
一次エネルギー消費量等級 等級6 等級6
一次エネルギー消費量削減率
(再生可能エネルギーなどを除く)
35%以上 20%以上
(再生可能エネルギーなどを含む) 100%以上115%未満 100%以上
高度エネルギーマネジメント(HEMS)
の導入
必須 必須ではない
蓄電池の導入 GX ZEHは必須 必須ではない

※シリーズの種類ごとに基準は異なる

性能面を比較すると、GX ZEHやGX ZEH-Mは従来のZEHよりも基準が高くなっていることが明らかです。新定義が本格運用されれば、新築住宅の省エネ性能はこれまでよりも一層高まるでしょう。

GX ZEHの運用に向けたスケジュール

先述のとおり、GX ZEHおよびGX ZEH-Mは2027年4月に運用開始予定です。ただし、2027年度は移行期間とされており、2028年3月までは従来のZEH認証の取得も可能となっています。

また、2028年3月以前に建築された住宅を改修する場合、4月以降もZEH認証を取得できます。

なお、すでに取得しているZEH認証は2028年4月以降も有効です。

時期 予定
2027年4月~ GX ZEH・GX ZEH-Mの運用開始
2028年3月まで 従来のZEH認証の新規取得が可能
2028年4月~ GX ZEH・GX ZEH-Mへ完全移行
※3月以前に建設された住宅の改修では、従来のZEH認証の新規取得が可能

こうした「省エネ基準の厳格化」は住宅だけでなく、建築業界全体で進んでいます。

非住宅向けの「ZEB」とは?

ZEH・ZEH-MやGX ZEH・GX ZEH-Mが住宅を対象とした省エネ基準であるのに対し、オフィスビルや商業施設などの非住宅用建築物に適用されるのが「ZEB認証」です。ZEB認証はZEHのように定義を見直される予定はありませんが、あらためて概要を確認しておきましょう。

ZEBの定義とZEBシリーズ

ZEBは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略で、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目標とする建築物です。性能基準に応じて、以下4段階に分類されています。

種類 要件
ZEB
  • 基準一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを除く)の削減率50%以上
  • 基準一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを含む)の削減率100%以上
Nearly ZEB
  • 基準一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを除く)の削減率50%以上
  • 基準一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを含む)の削減率75%以上
ZEB Ready
  • 基準一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを除く)の削減率50%以上
ZEB Oriented
  • 用途ごとに規定された、基準一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを除く)の削減率を満たすこと(30%または40%以上)
  • 省エネに関する未評価技術を導入すること

オフィスビルや商業施設などの非住宅用建築物は、住宅と比べて建築棟数は少ないものの、新築建築物全体に占めるエネルギー消費量の割合が大きいのが実情です。
そのため、ZEB認証を受けた非住宅用建築物の普及は、建築分野全体の脱炭素化を進めるうえで重要な役割を担っています。

ZEBとCASBEEの関係性

建築物の環境性能を評価する制度としては、ZEB認証のほかに「CASBEE認証」が広く用いられています。

これまで見てきたように、ZEB認証は非住宅用建築物を対象とし、一次エネルギー消費量の削減といった省エネ性能に特化して評価する制度です。

一方、CASBEE認証は省エネ性能に加えて、環境負荷の少ない資機材の使用状況、室内環境の快適性、周辺景観への配慮など、建築物の環境性能と品質を総合的に評価する制度となっています。

このように、ZEB認証とCASBEE認証は評価対象や視点が異なる別個の制度です。しかし、ZEB認証を取得した建築物は高い省エネ性能を備えていることが証明されるため、CASBEE認証においても高評価を受けやすく、建築物の資産価値をより高められるでしょう。

まとめ

2027年4月から運用開始予定のGX ZEHは、従来のZEHよりも高い省エネ基準を求める新たな住宅性能の考え方です。2050年のカーボンニュートラル実現へ向け、今後の住宅分野における省エネ化を牽引する役割が期待されています。

また、建築分野全体で脱炭素化が求められるなか、非住宅用建築物においても高い省エネ性能を評価するZEB認証の重要性が年々高まっています。

GX ZEHやZEB認証を受けた高性能な建築物は、CASBEE認証においても高評価を得やすく、環境配慮型不動産としての価値を向上させるうえで有効です。近年では、補助金申請などで第三者認証が求められるケースも増えており、CASBEE認証への注目は今後さらに高まっていくと考えられます。

CASBEE認証による評価結果を活用するためには、評価内容の信頼性や透明性が重要です。これからCASBEE認証の取得を検討している方は、実績豊富なCASBEE評価認証機関であるビューローベリタスへぜひご相談ください。

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