建物各階の床面積を合計した「延べ面積」は、容積率の算出に用いられます。そのため、建築計画を立てる際はどこまでのスペースが延べ面積に含まれるのかを理解しておくことが大切です。しかし、ベランダやバルコニーが延べ面積に含まれるのかどうか、判断に迷うケースも多いのではないでしょうか。
基本的に、ベランダやバルコニーは延べ面積には含まれません。ただし、ケースによっては延べ面積に含まれることがあるため、注意が必要です。
本記事では、ベランダやバルコニーが延べ面積に含まれるケース、延べ面積に含まれないそのほかの要素、延べ面積と建築面積の違いなどを解説します。
ベランダ・バルコニーは延べ面積に含まれない
基本的に、屋外と見なされる場所は床面積に算入されないため、ベランダとバルコニーも延べ面積に含まれません。
バルコニーやベランダが3方を壁に囲まれている場合であっても、屋根がなく、外気に開放された構造であれば延べ面積に含まれない点に留意しましょう。
ベランダ・バルコニーが延べ面積に含まれてしまうケース
前述のように、ベランダやバルコニーは外気に開放されたスペースであれば、通常は延べ面積には算入されません。しかし、構造によっては屋内空間と見なされ、延べ面積に含まれることがあります。具体的には、以下のケースです。
- インナーバルコニーにした場合
- エアコンの室外機をフェンスなどで区画する場合
- 幅が2mを超える
- バルコニーに格子を設置する場合
屋根があり、建物内部に設けられるインナーバルコニーは、実質的に屋内の部屋と同じように使用するため、基本的に延べ面積に含まれます。
また、エアコンの室外機の周囲にフェンスなどを設置した場合、囲んだ部分は機械室と見なされるため、延べ面積に含めなければなりません。
外部からの視線を遮る目的でバルコニーに格子を設ける場合も、開放性がなくなるために屋内空間と見なされ、延べ面積に含まれます。
さらに、バルコニーの幅が2mを超える場合、超えた部分は延べ面積に算入する必要があります。
なお、自治体によっては床面積算入の条件が異なる場合があるため、注意しましょう。ベランダやバルコニーが延べ面積に含まれるかどうか不安な場合は、遵法性調査を実施している検査機関などに相談してください。
延べ面積に含まれないその他のもの
ベランダやバルコニー以外にも、以下のような施設・設備は原則として延べ面積に含まれません。
- 玄関ポーチ
- 吹き抜け
- テラス・デッキ
- 外廊下・外階段
- 出窓
- ロフト
ただし、一定の条件を満たしていると延べ面積に含まれる点に注意しましょう。
玄関ポーチ
建物の玄関前に設置される玄関ポーチは、手すりや外壁に囲まれていないため外部施設と見なされます。したがって、延べ面積には含まれません。
ただし、作業場など屋内的用途に用いている場合は延べ面積に含まれます。
吹き抜け
吹き抜け部分は床がないため床面積に含まれず、延べ面積にも算入されません。吹き抜けを設けると、延べ面積を抑えながら開放的な空間を作れるため、広々としたリビングなどを希望する方は採り入れるとよいでしょう。
ただし、吹き抜けにキャットウォークや渡り廊下、収納棚がある場合は、延べ面積に含まれる可能性があるため、注意が必要です。
テラス・デッキ
テラスやデッキは、屋根や手すり、外壁などで囲われていない場合、基本的に延べ面積に含まれません。
外廊下・外階段
建物の外部に設けられ、外気に開放された構造である外廊下や外階段は、基本的に延べ面積に含まれません。具体的には以下の条件を満たす場合です。
【床面積に含まれない外廊下の条件】
- 外気に有効に開放されている部分の高さが1.1m以上
- 天井の高さの1/2以上である廊下については幅2mまでの部分
【床面積に含まれない外階段の条件】
- 階段に設置された手すりや壁から天井まで1.1m以上の高さがある
- 天井までの高さの1/2以上、外気に有効にさらされている
- 外部に開放されている部分の長さが、外部階段の周長の1/2以上ある
外廊下や外階段が延べ面積に含まれない条件については、下記関連記事でより詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連コラム
出窓
出窓は以下の条件を満たす場合、延べ面積に含まれません。
- 床面から30cm以上の高さにある
- 外壁面からの出幅が50cm未満である
- 見付け面積(風を正面から受ける部分の面積)の1/2以上を窓が占めている
ロフト
ロフトは居室ではない物置や収納・趣味の部屋などとして活用されます。以下の条件を満たす場合は、延べ面積に含まれません。
- ロフトの床面から天井までの高さが1.4m以下
- 固定式のはしごを取り付けない
- ロフトの面積が、ロフトを設置する階の床面積に対して1/2未満
知っておきたい建築で考慮すべき床面積
住居の安全性を確保し、地域の住環境を快適に維持するため、建築物にはさまざまな建築制限が設けられています。建築制限を守るためにも、建築における面積の基本的な考え方を理解しておきましょう。
建築における面積の種類
建築における面積には、建築面積、床面積、延べ面積、敷地面積などがあります。それぞれの概要を、以下の表にまとめました。
| 種類 | 要件 |
|---|---|
| 建築面積 | 建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(真上から見たときの面積)です。建ぺい率を計算する際の基準となります。 |
| 床面積 | 建築物の各階またはその一部で、壁やそのほかの区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。建築確認申請や法令規制の対象です。 |
| 延べ面積 | 建物各階の床面積を合計した面積です。容積率を計算する際の基準となります。 |
| 敷地面積 | 敷地の水平投影面積です。建物が建てられる敷地の広さを示します。 |
床面積と建築面積は特に混同しやすいため、違いを押さえておきましょう。
床面積に含まれるが建築面積には含まれないもの、建築面積に含まれるが床面積には含まれないものもあるため、注意が必要です。
延べ面積を正確に知る重要性
延べ面積は、建物の大きさを制限する容積率の算出時に用いる重要な指標です。
容積率は用途地域によって上限が決められており、さらに前面道路の幅や地区計画によって制限を受けることもあります。例えば、土地の面積が100㎡で容積率が100%と定められている地域では、100㎡を超える延べ面積の建物は建築できません。
延べ面積の考え方を正しく理解しておくことで、敷地にどのくらいの大きさの建物を建てられるのかがイメージしやすくなります。ベランダやバルコニーなど延べ面積に含まれない設備をうまく取り入れると、容積率の制限があるなかでも開放感のある建物を建てることが可能です。
まとめ
ベランダやバルコニーなど外気に開放された空間は通常屋内部分とは見なされず、延べ面積に含まれません。ただし、ベランダやバルコニーの幅が2mを超える場合、インナーバルコニーを設ける場合など、延べ面積に算入しなければならないことがある点に注意が必要です。
住宅の各施設が延べ面積に含まれるかどうかは自治体によっても判断が分かれるところであり、専門知識のない方が判断するのは難しいケースも少なくありません。
建築予定の建物について、「ベランダやバルコニーが床面積に算入されるのかがわからない」といった不安がある場合は、ビューローベリタスの遵法性調査をご活用ください。客観的な第三者の立場から、専門家が建築基準法などの法令に基づき、建物の適合性を調査いたします。

