CASBEEファミリー(戸建・建築・街区・都市)の概要

前回は、CASBEE認証の流れとよくある質問について説明しましたが、今回はCASBEEファミリーの全体概要について説明します。

CASBEEファミリーの紹介

CASBEEの評価ツールは、評価対象の規模によって建築系(住宅建築、一般建築)や、都市・まちづくり系(まちづくり、都市)に分類されており、これらを総称して「CASBEEファミリー」と呼んでいます(表1)。

casbee_pic11.jpg表1.CASBEEファミリーの構成(出所:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

1.1.CASBEE-戸建(新築)

CASBEE-戸建(新築)は、戸建住宅の設計内容に基づいて総合的な環境性能を評価するツールです。また、CASBEE-戸建(既存)は、竣工後1年以上経過した戸建住宅を評価対象とし、CASBEE-レジリエンス住宅チェックリストなどが含まれます。
住宅系のCASBEEには、集合住宅について住戸単位で評価するCASBEE-住戸ユニット(新築)もあります(集合住宅全体の環境性能は「CASBEE-建築(新築)」で評価します)。

1.2.CASBEE-建築(新築)

CASBEE-建築(新築)は、建築物の新築時に設計内容に基づいて評価するツールで、建築物一般(戸建住宅を除く)に適用できます。CASBEE-建築(既存)は、竣工後1年以上経過した建築物(戸建住宅を除く)が評価対象です。CASBEE-建築(改修)は、大規模改修時に使用するツールで、改修計画の内容に基づき評価します。
建築系のCASBEEには、CASBEE-不動産も含まれます。CASBEE-不動産は、竣工後1年以上経過した既存建築物が対象で、不動産の開発や取引に活用できるような評価基準が策定されています。

1.3.CASBEE-街区

CASBEE-街区は、街区全体、もしくは複数の街区で構成される地区など、大規模な一団の土地で計画・実行される建設プロジェクトを対象としていて、その環境性能を総合的に評価します。「コミュニティ健康チェックリスト」は、地域における健康面の問題点に居住者が事前に気づくための簡易診断ツールです。「自然環境」「安全・衛生環境」「交通・移動」といった大項目による全36問で構成されており、算出されたスコアを全国平均と比較することもできます。

1.4.CASBEE-都市

CASBEE-都市は、地区のスケールを超えた都市のスケールにおける環境性能を評価するツールで、都市の環境性能を、環境、社会、経済の面から総合的に評価します。

1.5.自治体版CASBEE

多くの地方自治体では、新築・増改築の際にCASBEEによる評価結果の届出を義務化する制度や、インセンティブを付与する制度を導入しています。2004年の名古屋市を皮切りに、各地の自治体で制度の導入が進みました。2017年7月時点で、24の地方公共団体において、届出制度としてCASBEEが導入されています。届出数の累計は、2016年3月末までに1万8千件を超えています。


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各ツールの2016年版の改訂概要

CASBEEファミリーは、2016年7月に一部ツールの改訂や新規ツールの追加が行われました。以下では、おもな改訂内容について紹介します。

2.1.CASBEE-建築(新築)、CASBEE-戸建(新築)、CASBEE-住戸ユニット(新築)

これらのツールが、平成27年7月公布の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年法律第53号)」(通称、建築物省エネ法)に対応しました。建築物省エネ法においてモデル建物法が適用できる面積要件が撤廃され、建物の規模に係わらず利用できるようになったことを受け、CASBEEでも標準入力法とモデル建物法の区別無く、同じ評価基準で評価できるように改訂されました。

2.2.CASBEE-短期使用

CASBEE-短期使用は、仮設建築物等など短期間使用される建築物を対象に、短期使用建物の特徴(リサイクル性能、廃棄物抑制対策など)を評価するツールです。このCASBEE-短期使用が、2020年東京オリンピックの競技施設などの仮設建築物も評価できるように改訂されました。

2.3.CASBEE-レジリエンス住宅チェックリスト

2016年版で新しく導入されたチェックリストです。住宅の居住者に自然災害への備えを促すことを目的としたツールで、42のチェック項目で自然災害への対応度を採点できます。チェックリストは一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構 (IBEC)のウェブサイトに公開されており、住まいの建物の性能と住まい手の暮らし方を対象に、平常時の「免疫力」、災害発生時の「土壇場力」、災害後の「サバイバル力」という3つの観点から「住まいのレジリエンス度」を確認できます。

 

→ CASBEE評価認証→ CASBEE適合性検証

※ビューローベリタスが適合性検証業務を行った建築物に対して、ビューローベリタスが認証業務を行うことはできません

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