コラム - 事例で見る遵法性調査(4)―事務所の排煙設備―

遵法性調査とは、既存建物を建築基準法などの法令やお客様の指定した法令に照らし合わせて適合性を調査する業務です。

企業に求められるコンプライアンスの内容は、建設時や既存建物売買・状況確認時、また労働安全への取り組み時において高度かつ多岐にわたっています。これら全内容を企業が独自に実践するのは容易ではありません。ビューローベリタスは第三者の立場からコンプライアンスに関する基準と実際の運用状況とのギャップを調査し、企業の経営リスクの低減に寄与しています。

あるビル所有者様からの「建物の適合状況を把握し今後の改善の資料としたい」という依頼に基づき、ビューローベリタスが遵法性調査を実施した事例を紹介します。

  • 【調査対象】事務所
  • 【経  緯】調査対象建物は階数が3以上で延べ床面積が500㎡を超えており、排煙設備の設置が必要な建物であった。排煙設備については引き違い窓の自然排煙により必要排煙面積が確保されていたが、検査済証取得時、事務所内に会議室は設置されていなかった。2015年3月に事務所の間取りを変更し、会議室が設置された。
  • 【調査内容】排煙設備の遵法性調査

調査対象建物(*)の概要

  • 確認申請済証交付日:2013年4月1日
  • 検査済証交付日:2014年2月1日
  • 延べ床面積:2,000㎡
  • 構造:耐火構造
  • 階数:8階
  • 用途:事務所(2015年3月1日間仕切りを変更)

(*) 建築基準法施行令第126の2に該当し、排煙設備設置が必要な建築物

現状

検査済証取得後、事務所内に会議室が設置された。

事務所の部屋割り
・執務室:居室の床面積の1/50以上の排煙上有効な窓(引き違い窓)が設けられている。
・会議室:排煙上有効な窓は設けられていない。壁および天井の屋内に面する部分の仕上げおよび下地は不燃材料で作られており、平成12年建設省告示第1436号第四号ニ(4)による排煙設備設置緩和の適用を受けている。

遵法性調査事例 対象建物

調査結果

会議室は仕上げおよび下地ともに不燃材仕様であることが確認された。
執務室と会議室の間に設置された扉は、床から天井に届く木製扉であった。

指摘内容

執務室は自然排煙、会議室は平成12年建設省告示の適用により排煙設備設置緩和を受けており、防煙区画とする必要がある。扉の要件は法令に明確な定めはない。一般的には「建築設備・施工上の運用指針 2019版」(以下「設備指針」という。)に基づいて決められる。設備指針では「防煙たれ壁」の設置が求められている。「防煙たれ壁」が設置されていない場合は下記の条件を満たす必要がある。

  1. 煙感知器連動または常時閉鎖式の不燃材料の扉の設置
  2. 扉上部には、不燃材料のたれ壁を天井から30cm以上設けなければならない

執務室と会議室の間に設けられた扉部分の仕様は上記の基本要件を満たしておらず、防煙区画が形成されていないことが確認された。

遵法性調査事例 扉部分の仕様

ビューローベリタスのサービス

ご紹介した事例やその他関連する事例について、ビューローベリタスでは「遵法性調査」サービスを提供しています。具体的には、建築基準法・消防法を基準として建物の現状を確認し、問題点や改善すべき点についてご報告いたします。現状の建物の法適合性を確認されたい場合は、遵法性調査の依頼をご検討ください。
「遵法性調査」以外にも既存建物や工事中の建物に対するさまざまなサービスを提供しています。お気軽にご相談ください。