地盤面の算定とは?基本的な算定方法やからぼりの取り扱いを解説

地盤面は建築物の高さや軒の高さなどに関わるため、建築基準法令に基づいて適切に算定する必要があります。特にからぼり(ドライエリア)が設けられている建築物の場合、どこを地盤面とするかは特定行政庁によって異なることがあるため、事前の確認が欠かせません。

本記事では、地盤面の定義や算定の必要性、算定方法、からぼりがある場合の考え方などをわかりやすく紹介します。既存建築物の遵法性調査の重要性も解説しているため、地盤面の算定方法に不安がある方はぜひ参考にしてください。

地盤面の算定とは?

建築物の設計や建築確認申請などを行う際には、地盤面の算定が必要です。まずは、地盤面の定義や算定が必要な理由を解説します。

地盤面の定義と算定の必要性

地盤面とは「建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面」(建築基準法施行令第2条第2項)のことをいいます。建築物や軒の高さなどの基準となるのは、この施行令第2条第2項で定められた地盤面です。

平坦な土地であれば「地盤面=地表面」です。しかし、土地は必ずしも平坦ではなく、場所によって傾斜や凹凸がある場合も少なくありません。こうした土地では、建築物を建てる際に地面と接する位置の平均の高さを算出し、地盤面を定めます。

地盤面の定義と算定のイメージ画像/建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さを算定する

なお、建築物の接する地面の高低差が3mを超える場合には、高低差3m以内ごとに領域を分けて地盤面を算定する決まりです。そのため、ひとつの建築物に対して複数の地盤面が設定される形となります。

建築基準法施行令 第2条第2項
前項第二号、第六号又は第七号の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
 
引用:e-Gov法令検索「建築基準法施行令
地盤面の定義と算定のイメージ画像

なお、建築基準法第52条第4項においても、上記と同じように地盤面が定義されています。こちらは住宅や老人ホームなどの用途に供する地階について、容積率算定上の延べ面積から一定の床面積を除外する際に用いられるものです。定義は建築基準法施行令第2条第2項と共通ですが、適用される規定が異なります。また、建築基準法第52条第5項に基づき、条例によって対象区域の地盤面を別に定めている自治体もあるため、注意が必要です。

建築基準法 第52条

第4項
前項の地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。

第5項
地方公共団体は、土地の状況等により必要と認める場合においては、前項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、条例で、区域を限り、第三項の地盤面を別に定めることができる。

引用:e-Gov法令検索「建築基準法

地盤面と平均地盤面の違い

地盤面とは別に「平均地盤面」という基準が用いられることもあります。

前述のとおり、建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合、地盤面は高低差3m以内ごとに複数設定されます。一方、平均地盤面は建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さを敷地ごとに算定するため、ひとつの敷地に対してひとつしか設定されません。敷地内に複数の建築物があっても、平均地盤面はひとつのみです。

次に紹介するように、建築にかかわるほとんどの規制は地盤面を基準とします。ただし、周囲の敷地の住環境を保つことを目的とする「日影規制」のみ、平均地盤面を基準に判断されるため注意が必要です。

地盤面の算定が必要となる場面

地盤面は建築物の高さを測る際の基準となります。原則として、「地盤面からの高さ=建築物の高さ」です。地盤面から算定した建築物の高さは、絶対高さ制限や隣地斜線制限など、さまざまな法的規制を検討する際に用いられます。

そのほか、軒の高さや建築面積、住宅や老人ホームなどの地階部分にかかる容積率算定上の不算入措置なども地盤面が関係します。つまり、地盤面の高さによって、建てられる建築物の規模も変わってくる可能性があるのです。

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基本的な地盤面の算定方法

建築物の規模にも影響を与える地盤面はどのように算定するのでしょうか。基本的な算定方法と例外的な場面での考え方を解説します。

高低差3mを基準として変わる算定方法

通常、地盤面の高さは次の計算式で求められます。

地盤面の高さ(m)=基準となる高さからの見付面積÷建築物の周囲の長さの合計

見付面積とは建築物を正面から見たときの面積です。図のように、まずは建築物が地面と接する位置の高さ(a・b・c・d)をそれぞれ展開図に落とし込みます。そして、建築物がそれぞれの面で地面と接する位置と基準となる高さによって囲まれた部分の面積(S1~S4)を求め、周長(l1~l4)の合計で割ることで地盤面の高さ(H)を算出します。

見付面積の展開図

建築物が周囲の地面と接する位置に3mを超える高低差がある場合は、高低差3m以内ごとに領域を分け、それぞれの領域で地盤面を算定する必要があります。この場合の地盤面の計算方法は上記と同様です。

「高低差3m以内ごと」は最低点・最高点のどちらから起算しても構いませんが、特定行政庁によっては最低点から起算するよう指定している場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

ピロティや屋外階段などがある場合の考え方

ピロティや屋外階段、バルコニー、廊下などが建築物の外側に張り出している場合に地盤面を算定する際は注意が必要です。

このとき、地盤面の算定にあたっては、建築物の最も外側にある柱や壁の中心線を垂直に下ろした位置で地面と接しているものとして扱われます。

ただし、特定行政庁によって判断が分かれる場合もあるため、該当する建築物を計画する際は事前にご確認ください。

からぼり(ドライエリア)がある場合の地盤面算定

地盤面の算定でとりわけ注意したいのが、建築物の周囲にからぼり(ドライエリア)があるケースです。からぼりの規模によって地盤面の設定方法は変わるため、一般的な取り扱いを理解しておきましょう。ただし、特定行政庁によって細かな規定は異なるので、事前確認が重要です。

建築物と一体的な小規模のからぼりにおける地盤面算定

建築物と一体になった小規模なからぼりを設ける場合、建築物の本体および周壁の外側部分を地盤面とします。からぼりの底盤を基準とするわけではありません。

この規定の一般的な適用条件は「からぼりの幅2m以下、からぼりの外側から敷地境界線までが0.5m以上」といったものですが、特定行政庁によって独自の規定を設けているケースも珍しくありません。また、どこから「小規模で建築物と一体的」と見なすかも特定行政庁によって異なることがあるため、注意しましょう。

建築物と一体的な小規模のからぼりにおける地盤面算定のイメージ画像

大規模のからぼりなどにおける地盤面算定

大規模な周壁を持つからぼりが設けられている建築物では、からぼりの底盤の上端を地盤面とします。前述の小規模なからぼりのケースよりも地盤面が低くなるため、同じ規模であっても、建築物はより高くなります。

この場合の「からぼり」とは、通風・採光を目的とした空間や、緊急時・メンテナンス時のみに使う非常階段を設置するための空間などを指すのが一般的です。日常利用を目的とした通路や階段、主要な出入口などが設けられているときにはからぼりに該当せず、空間の規模に関係なく、底盤の上端が地盤面として扱われます。

なお、からぼりがある場合の地盤面の算定基準も法律で明確に定められているわけではなく、特定行政庁によって異なる場合があるので要注意です。

大規模のからぼりなどにおける地盤面算定のイメージ画像

特定行政庁により異なるルールと事前相談の必要性

傾斜地で行われる盛土・切土も、施行前後のどの地面を「地面と接する位置とするか」の取り扱いが特定行政庁によって分かれるため、地盤面の設定が議論になりやすいポイントです。一定の規模以上の盛土・切土は、災害防止の観点から盛土規制法に基づく許可や届出の対象となるため、併せて確認しておきましょう。

からぼりのある物件や傾斜地にある物件を所有している、あるいは新築を予定しているなら、特定行政庁への事前相談が欠かせません。

地盤面算定で不安がある場合には遵法性調査を検討

地盤面算定において少しでも不安があるなら、遵法性調査の実施を検討しましょう。ここでは、既存建築物における遵法性調査の重要性を解説します。

地盤面のルールに潜む法令違反のリスク

先述のとおり、地盤面の算定ルールは複雑であり、特定行政庁ごとに解釈が異なる部分も多いのが実情です。さらに、地下室マンションの社会問題化を経て、からぼりにまつわる地盤面の取り扱いを見直した特定行政庁もあります。

遵法性調査でリスクを回避

専門家による遵法性調査を受ければ、からぼりに関する地盤面の規定をはじめ、物件の法令への適合状況を確認できます。不適合箇所を洗い出すことで、現行の法令に適合させるために必要な改修に着手できるでしょう。コンプライアンスの観点からも、遵法性調査の実施がおすすめです。

まとめ

地盤面は、建築物の高さや建築関連の多くの規制にかかわる重要な基準です。ピロティや屋外階段などがある場合、からぼりがある場合などでは、地盤面の算定が複雑になることもあります。特定行政庁によって異なる規定が設けられているケースも多いため、上記の設備のある建築物を計画しているなら、必ず事前に相談しておきましょう。

また、既存建築物についても、建築後の法令改正によって既存不適格になっている可能性があります。所有している建築物の地盤面算定で少しでも不安があるなら、ビューローベリタスの遵法性調査サービスをぜひご利用ください。

簡易的な調査をご希望の場合には、図面を用いた机上での調査も可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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